梅は「春告げ草」ウグイスは「春告げ鳥」とも言われているように、 「梅に鶯(ウグイス)」といえば、 万葉の時代から現代に続く、春の訪れを告げる代表的な組み合わせです。
花札にも描かれるこの組み合わせは、紅梅の「やわらかい赤」とウグイスの羽色である「明るい黄緑」の、 色のコンビが印象的。
「よく似合って調和するものの例え」として、 「紅葉に鹿」「松に鶴」などと一緒に使われることわざでもありますね。
ところで、このウグイス。
普段は薮(やぶ)で暮らし、主に虫などを食べるため、人目に触れる梅の木にとまることはあまりないのだそう。
では、なぜ「梅に鶯」?
実は、ウグイスの羽色は、誤解されていることが多いのです。
ちょっぴり臆病で恥ずかしがり屋のウグイスは、 警戒心が強いので人前に出てくることはあまりなく、 鳴き声が聞こえてもその姿を見ることは稀。
対照的に、メジロは怖いもの知らず。
人間がいても平気で木の枝にとまり、餌を食べにやってきます。
つまり、「ホーホケキョ」とウグイスが鳴きはじめる頃、梅の木にとまって花の蜜を美味しくいただいているのは、 「あかるい黄緑」色の羽をしたメジロ。
鳴き声が聞こえ、ふと見上げるとそこには梅の木にとまるメジロがいて…。
昔の人はその光景を「梅に鶯」として、 「あかるい黄緑」のウグイス(実はメジロ)を描いた、とする説が有力のよう。
ウグイスの実際の羽色は、 「くすんだ黄緑」(JIS慣用色名 鶯色:マンセル値 1GY 4.5/3.5)。
美しい鳴き声とはウラハラに、案外地味な装いなのです。
ちなみにメジロはその名のとおり、 目の周りをくるりと囲む白い縁取りが特徴的。
みなさんがよく見かける「梅に鶯」の図柄は…さて、どちらでしょう??
(SATOMI)
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