時間がつくりあげる味わいと色 - 琥珀色

宝飾品や工芸品にも使われる天然石「琥珀(こはく)」のような色のことを「琥珀色」といいます。

天然石は、水晶や翡翠(ひすい)、ルビーやアメジストなど鉱物由来のものが多く、「琥珀」のように植物由来のものは稀です。


「琥珀色」は英語で「アンバー(Amber)」といいます。「バーントアンバー(Burnt umber)」「ローアンバー(Raw umber)」という色名もありますが、こちらはイタリア ウンブリア(Umbria)地方で採掘される、黄みよりの土に由来する顔料の色のことです。

(「バーントアンバー」「ローアンバー」は、以前のコラム「ファンデーションの色 - イエローオーカー」でもご紹介しています。)


「琥珀」は、木の樹脂が地中で固化したもので、樹脂の化石ともいわれます。

太古の植物樹脂が何千万年もかけて固化する際、その時代に生息していた生き物などが包み込まれることがありますが、昆虫が一緒に化石化したものは「虫入り琥珀」と呼ばれ、当時の地球の生命について知ることができるという点から、学術的にもとても貴重。

1993年公開の映画「ジュラシック・パーク」では、琥珀に閉じ込められた虫(蚊)から恐竜のDNAを採取し恐竜を復活させるというアイデアが話題になりました。


「琥珀色」はブランデーやウイスキーの色の表現にも使われます。

蒸留されたばかりのブランデーやウイスキーは無色透明ですが、樽に入れ、時間をかけて熟成していくことで「琥珀色」へと変化。その色や味・香りは、熟成期間はもちろん、樽の種類や環境によっても異なるそうです。


悠久の時を経て化石化した「琥珀」と、長い熟成期間を経て色づくブランデーやウイスキーの「琥珀色」。どちらも時間がつくりあげる味わいと色です。

(SATOMI)


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