アパレル業界とサステナブルの関係についてご紹介した「自然で染めたモノを身に着けるという選択(1) -アパレル業界に求められるサステナブルな取組み」に引き続き、天然染料にスポットをあてたお話です。天然染料を使ったファッションは、ひとつのモノを長く使うことができる、素材を大切にする、資源を使いすぎないようにする、など多くのサステナブルな取組みに繋がるのです。また、天然染料の味わいのある色は、大切にモノをつかう楽しみを教えてくれます。
(SHIORI)
天然染料の色あいはやさしく、奥行き感があり、そして変化する
天然染料は、化学染料と違い、やさしい色あいが特徴的。石油由来の化学染料は、色の耐久性があり、品質が一定であることが特徴ですが、天然染料はやわらかい色の移り変わりが楽しめることが魅力のひとつです。
天然染料でしか味わえないやさしい色あい
天然染料で染められた服は、淡い桜色や山吹色、藤色といったやさしい風合いが多くあります。化学染料が得意とするビビッドなカラーではなく、中間色といわれるやさしいニュアンスカラーが天然染料の特徴です。
草木染めに使われる天然染料の中には様々な色素が混ざっています。繊細で幾重にも色を重ねたような、奥行き感のある色に染めることができるのも魅力です。
色の変化が楽しめる
植物や動物から抽出した天然染料は、季節や温度によって染め上がり方が全く違います。季節の植物の染料であっても、去年と今年ではまた変わった風合いに染め上がります。また、温度によって素材や繊維の染まり具合が変わってくることもあります。
さらに染められたあとも、時間の経過や環境によって少しずつ色が変化していくのも天然染料だけの特別な楽しみのひとつです。
染め直しができる
時間がたち、風合いが変わってきたら染め直すこともできます。同じ植物の染料で染め直すこともできますし、重ねて違う染料で染めることもできます。「流行の色ではなくなったから」といって捨てていた服も、天然染料であれば染め直すことで長く大切に着続けることができるのは、サステナブルファッションの理想形です。
天然染料による染色
藍
タデアイというタデ科の植物をつかって染められたものです。藍染は、古くから行われていた伝統的な染めの手法で、納戸色や甕覗き(かめのぞき)、縹(はなだ)色、濃紺など、藍染めが由来とされる色名が数多く存在します。藍染の布地には防虫効果や、消臭・保温効果、肌を守る紫外線防止効果があります。
茜
日本最古の染料とされるアカネ草の根をつかって染める茜色。華やかなのにやさしさに包まれたような濃い赤が、草木染めの魅力を一層引き立てます。
桜
桜染めは、花びらではなく、枝や樹皮からピンク色に染まります。ほのかに淡い色合いが、自然と調和して心地よさを感じます。
たまねぎ
たまねぎの皮も染料になります。普段はそのまま捨ててしまう皮ですが、明るくやさしい綺麗な黄色に染まります。身近な食材で染められたモノだと、より一層親しみが湧きます。
柿渋
日本では、平安時代に柿衣として利用されていた柿渋の染料。渋い茶色の色みが特徴です。柿渋に含まれるタンニンという成分で、防腐効果や抗菌効果、防虫効果などが期待できます。
サステナブルなファッションを楽しもう
アパレルとサステナブルの関係から、サステナブルなファッションである天然染料とその色の魅力について考えました。
ひとつのモノを長く使うことができる、素材を大切にする、資源を使いすぎないようにする、そんな天然染料で染められた服を選ぶことは、サステナブルな取組みのひとつになります。天然染料のやさしい色あいや季節感を味わえる特別感あるファッションは、愛着が湧いて、自然と長く生活に馴染むものになります。
世界中でサステナブルな考えが浸透してきている今、わたしたち消費者も環境について考えて行動をする時代です。これからの社会に目を向け、エシカル(倫理的)に楽しみながらファッションを選ぶ、そのような考えを、わたしたち一人ひとりが価値だと思える、そんな世の中になれば、地球にやさしい社会が自然とつくられていくのではないでしょうか。
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